ホンジュラス内政・外交月報 〈2009年2月〉
Ⅰ.内政
1.内閣改造
(1)1日、メヒア副大統領代行、オレジャナ国防大臣及びロダス外務大臣の就任式が実施された。ロダス外相は、自身が左派寄りであると見られていることにつき、むしろこれまでの政策が余りに保守的でありかつ多様性(pluralidad)に欠けていたのであり、セラヤ大統領は、いわゆる左派政権諸国との関係を新たに切り開き、多様性を強化すると発言した。
(2)他方、相互尊重に基づき米国との関係も強化する旨、また、オバマ新政権に対しては前政権に対してよりも多くを期待する旨発言した。更に同外相は、在外公館に派遣されている政治任命の外交官・領事官について、ホンジュラス政府の政策及び国益にかなう仕事をしているかどうかを調査し、問題がある者については解雇すると発表した。
2.検事総長及び検事総長補の選出
(1)8日、国会で与党自由党が支持するルイス・ルビ元最高裁判事が検事総長に選出された。任期は2009年から2014年。また検事総長補には国民党が支持するロイ・ダビー・ウルテチョ元コマヤグア高裁判事が選出された。(両名は3月11日に就任)。当初ウルテチョ検事総長補の選出に際しては自由党及び国民党の一部党派による反対があったものの、ロボ大統領候補(国民党前党首)の仲介により両党間の合意に達した。
(2)エルナンデス国民党国会議員代表代理は、ルビ検事総長の選出については、事前に市民社会、教会、カジェハス元大統領、マドゥーロ前大統領(ともに国民党)、フローレス元大統領(自由党)及びキリスト教民主党指導者のコラレス氏等との協議がなされたと説明した。またウルテチョ総長補選出については、ルビ検事総長を補佐する若さと推薦委員会による全会一致での推薦によるものであったと説明した。
(3)少数野党側の見解として、アヤラ国会議員(民主統一党:UD)は、二大政党による公職の山分けであると批判するとともに、両党間合意にロボ大統領候補の介入が必要であったと発言した。またアギレラ国会議員(革新統一党:PINU)は、国会が候補者推薦委員会の果たした役割を無視し、党利党略により決定を行ったと述べ、PINUは投票を棄権したと発言した。
Ⅱ.外交
1.バチェレ・チリ大統領の当国訪問
(1)バチェレ・チリ大統領は官僚、政治家、企業家やマスコミを帯同し9日の午後に当地に到着した。チリ大統領の当国訪問は2002年のラゴス大統領以来である。
10日、午前中バチェレ大統領はセラヤ大統領と1時間に渡り会談を行い、その後、市内ホテルで両国企業グループ朝食会の閉会挨拶を行った。またセラヤ大統領夫人の主催する女性団体等と会談し、同団体の運営する貧困層を対象とした無料の食料提供施設を見学した。その後、両大統領臨席の下、ホンジュラス科学技術評議会とチリ国家科学技術調査委員会との間の技術協力、両国外交官学校の学術交流に関する合意への署名がなされた。またバチェレ大統領によると、近い将来麻薬問題等、治安対策に関する合意にも署名がなされる予定である。
(2)セラヤ大統領は暗殺されたチリの社会主義者アジェンデ元大統領の当時の発言を引きつつ、「バチェレ大統領、あなたは米州の自由なる女性及び男性に偉大なる道を開拓しつつある」と述べ、歓迎の意を表明するとともに、両国関係の強化を強調した。これに対しバチェレ大統領は、今次訪問により両国関係が政治関係から経済関係に至るまで強化されると確信していると述べた。
2.ベネズエラからのトラクター寄贈
(1)17日、セラヤ大統領は、ALBAに基づきベネズエラよりホンジュラスに寄贈された100台のトラクターの内1台に搭乗し、2時間に渡る行進を実施した。キャラバンにはロダス外相、ボナノ公共事業相、エルナンデス農牧相、会場となったサンペドロ・スーラ市のパディージャ・スンセリ市長等が出席した。また今次式典にはベネズエラ側よりカルデナス外務次官が出席した。
(2)エルナンデス農牧相は、トラクターはバジェ・デ・スーラ、コマヤグア、エル・パライソ及びオランチョ県等で利用される予定で、8万5千マンサーナス(59万5千平方メートル)の耕作が可能となり、3万の生産者が裨益すると発言した。同大臣によると、トラクター1台の価格は約5万3千ドルで、各地の農民組合が生産者に有償で貸与し、これにより保守管理の経費をまかなう由。
(3)セラヤ大統領は、出席した農民グループに向かってトラクターがホンジュラスを進化させる武器であると述べた。これに対して、赤シャツに身を包んだ農民等はホンジュラス、ベネズエラそれぞれの英雄であるモラサン将軍やシモン・ボリーバルの旗を掲げ、セラヤ政権を賞賛した。
3.セラヤ大統領の訪米
(1)19日、セラヤ大統領はOAS会議出席のため訪問中のワシントンで米国が国内法を犯してまで大量のホンジュラス移民を強制送還していると批判し、ホンジュラスが麻薬取引の「被害者」であると指摘するとともに、米国における麻薬消費の撲滅が成果をもたらしていないとも発言した。また米国農業の保護貿易が食糧市場に歪みをもたらしていると指摘した。
セラヤ大統領はOAS常設議会で講演し、当国サン・ペドロ・スーラ市で5~6月に開催予定のOAS総会の主要議題が「非暴力」となると述べるとともに、社会主義が各国経済に有効であると指摘し、オバマ大統領によるグアンタナモ収容所撤去及びイラクからの米軍撤退等を賞賛した。同大統領はインスルサOAS事務総長と個別に会談し、その後の昼食にはロダス外相も同席した。
(2)20日、セラヤ大統領は、米国国土安全保障長官及びエネルギー省長官とそれぞれ会談し、移民問題及び再生エネルギー問題等につき協議した。同大統領は合法的に米国に入国した移民が強制送還等により家族から引き離される状況を批判したが、米国側は移民の原因となっているホンジュラス国内における貧困や治安悪化の問題を解決することこそが先決であると主張した。
この後、チュー米国エネルギー省長官と会談したセラヤ大統領は、ホンジュラスが石油に依存しないためにも再生エネルギー等の代替案を模索する必要性がある旨主張した。同会談後、セラヤ大統領は米国政府の招きによりコロラド州デンバーにある再生エネルギー研究センターを訪問した。
在ホンジュラス日本国大使館,
Col. San Carlos, Calzada Rep. Paraguay, Tegucigalpa, M.D.C., Honduras, C.A.
(Apartado Postal 3232)
TEL : (504)236-5511, 236-6828, 236-6829
FAX : (504)236-6100 |